破産法案要綱

第一  総則
 一  目的
 この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とするものとすること(第一条関係)。
 二  定義
 この法律における主な用語の定義を定めるものとすること(第二条関係)。
 三  外国人の地位
 外国人又は外国法人は、破産手続に関し日本人又は日本法人と同一の地位を有するものとすること(第三条関係)。
 四  破産事件の管轄
 破産手続開始の申立ては、債務者が個人である場合には日本国内に営業所、住所、居所又は財産を有するときに限り、法人その他の社団又は財団である場合には日本国内に営業所、事務所又は財産を有するときに限り、することができること、及び破産事件を管轄する裁判所について規定を整備するものとすること(第四条及び第五条関係)。
 五  専属管轄
 この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とするものとすること(第六条関係)。
 六  破産事件の移送
 著しい損害又は遅滞を避けるための破産事件の移送について規定を整備するものとすること(第七条関係)。
 七  任意的口頭弁論等
 破産手続等に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができること、裁判所は、職権で、破産事件に関して必要な調査をすることができることについて規定を設けるものとすること(第八条関係)。
 八  不服申立て
 破産手続等に関する裁判に対する不服申立てについて規定を整備するものとすること(第九条関係)。
 九  公告等
 この法律の規定による公告及び送達について規定を整備するものとすること(第十条関係)。
 十  事件に関する文書の閲覧等
 破産事件に関する文書等の閲覧等の制度について規定を整備するものとすること(第十一条及び第十二条関係)。
 十 一 民事訴訟法の準用
 破産手続等に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法の規定を準用するものとすること(第十三条関係)。
 十 二 最高裁判所規則への委任
 この法律に定めるもののほか、破産手続等に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定めるものとすること(第十四条関係)。
第二  破産手続の開始
 一  破産手続開始の申立て
  1  破産手続開始の原因
 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、申立てにより、決定で、破産手続を開始すること、その他破産手続開始の原因について規定を整備するものとすること(第十五条から第十七条まで関係)。
  2  破産手続開始の申立て
 債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができること、債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならないこと、その他破産手続開始の申立てについて規定を整備するものとすること(第十八条から第二十条まで関係)。
  3  破産手続開始の申立書の審査
 破産手続開始の申立書の審査について規定を整備するものとすること(第二十一条関係)。
  4  費用の予納等
 破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならないこと、裁判所は、申立人の資力、破産財団となるべき財産の状況その他の事情を考慮して、申立人及び利害関係人の利益の保護のため特に必要と認めるときは、破産手続の費用を仮に国庫から支弁することができること、その他費用の予納について規定を整備するものとすること(第二十二条及び第二十三条関係)。
  5  他の手続の中止命令等
 必要があると認めるときは、強制執行等の手続等の中止を命ずることができるものとすること(第二十四条関係)。
  6  包括的禁止命令等
 裁判所は、5の中止の命令によっては破産手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、すべての債権者に対し、強制執行等及び国税滞納処分の禁止を命ずることができること、相当と認めるときは、一定の範囲に属する強制執行等又は国税滞納処分を包括的禁止命令の対象から除外することができること、包括的禁止命令が発せられた場合には、既にされている強制執行等の手続は中止すること、並びに包括的禁止命令の解除の制度について規定を整備するものとすること(第二十五条から第二十七条まで関係)。
  7  債務者の財産に関する保全処分
 債務者の財産の処分禁止の仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができること、その他債務者の財産に関する保全処分について規定を整備するものとすること(第二十八条関係)。
  8  破産手続開始の申立ての取下げの制限
 破産手続開始の申立ての取下げの制限について規定を整備するものとすること(第二十九条関係)。
 二  破産手続開始の決定
 裁判所は、この法律に定める場合を除き、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、破産手続開始の決定をすること、及び当該決定と同時に定めるべき事項、不服申立て等について規定を整備するものとすること(第三十条から第三十三条まで関係)。
 三  破産手続開始の効果
  1  破産財団の範囲
 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とすること、その他破産財団の範囲について規定を整備するものとすること(第三十四条関係)。
  2  法人の存続の擬制
 法人は、破産手続による清算の目的の範囲内において、破産手続が終了するまで存続するものとみなすものとすること(第三十五条関係)。
  3  破産者の事業の継続
 破産者の事業の継続について規定を整備するものとすること(第三十六条関係)。
  4  破産者の義務等
 居住に係る制限、引致、説明義務又は重要財産開示義務等の破産者等の義務について規定を整備するものとすること(第三十七条から第四十一条まで関係)。
  5  他の手続の失効等
 破産手続開始の決定があったときは、強制執行等はすることができず、強制執行等の手続は効力を失うこと、及び中止した手続等の続行について規定を整備するものとすること(第四十二条関係)。
  6  国税滞納処分等の取扱い
 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する国税滞納処分は、することができないこと、その他国税滞納処分の取扱い等について規定を整備するものとすること(第四十三条関係)。
  7  破産財団に関する訴えの取扱い等
 破産手続開始の決定があった場合における破産財団に関する訴訟手続の中断又は受継等について及び債権者代位訴訟及び詐害行為取消訴訟の取扱い等について規定を整備するものとすること(第四十四条から第四十六条まで関係)。
  8  開始後の法律行為の効力等
 破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係においては効力を主張することができないこと、破産手続開始後に破産財団に属する財産に関して破産者の法律行為によらないで権利を取得しても、その権利の取得は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができないものとすること(第四十七条及び第四十八条関係)。
  9  開始後の登記及び登録の効力等
 不動産等に関し破産手続開始前に生じた登記原因に基づき破産手続開始後にされた登記又は不動産登記法第二条第一号の規定による仮登記は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができないこと、破産手続開始後に、その事実を知らないで破産者にした弁済は、破産手続の関係においても、その効力を主張することができること、その他開始後の登記及び登録等の効力について規定を整備するものとすること(第四十九条から第五十一条まで関係)。
  10  共有関係
 数人が共同して財産権を有する場合において、共有者の中に破産手続開始の決定を受けた者があるときは、その共有に係る財産の分割の請求は、共有者の間で分割をしない旨の定めがあるときでも、することができること、その他共有者の中に破産手続開始の決定を受けた者がある場合について規定を整備するものとすること(第五十二条関係)。
  11  双務契約
 双務契約について破産者及び相手方が破産手続開始当時共にまだ履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができること、並びに相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、期間内に契約の解除をするか又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができるものとすること(第五十三条及び第五十四条関係)。
  12  継続的給付を目的とする双務契約
 破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由としては、破産手続開始後は、義務の履行を拒むことができないこと、その他継続的給付を目的とする双務契約について規定を整備するものとすること(第五十五条関係)。
  13  賃貸借契約
 賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約については、破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しないこと、その他賃貸借契約について規定を整備するものとすること(第五十六条関係)。
  14  委任契約
 破産手続が開始された場合において、受任者は、民法第六百五十五条の規定による破産手続開始の通知を受けず、かつ、破産手続開始の事実を知らないで委任事務を処理したときは、これによって生じた債権について、破産債権者としてその権利を行使することができるものとすること(第五十七条関係)。
  15  市場の相場がある商品の取引に係る契約
 取引所の相場その他の市場の相場がある商品の取引に係る契約であって、その取引の性質上特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができないものについて、その時期が破産手続開始後に到来すべきときは、当該契約は、解除されたものとみなすこと、その他市場の相場がある商品の取引に係る契約について規定を整備するものとすること(第五十八条関係)。
  16  交互計算
 交互計算は、当事者の一方について破産手続が開始されたときは、終了すること、終了した場合には、各当事者は、計算を閉鎖して、残額の支払を請求することができること、その他交互計算について規定を整備するものとすること(第五十九条関係)。
  17  為替手形の引受け又は支払等
 為替手形の振出人又は裏書人について破産手続が開始された場合において、支払人等がその事実を知らないで引受け又は支払をしたときは、その支払人等は、これによって生じた債権につき、破産債権者としてその権利を行使することができること、その他為替手形の引受け又は支払等について規定を整備するものとする(第六十条関係関係)。
  18  夫婦財産関係における管理者の変更等
 民法第七百五十八条第二項及び第三項並びに第七百五十九条の規定は配偶者の財産を管理する者につき破産手続が開始された場合について、同法第八百三十五条の規定は親権を行う者につき破産手続が開始された場合について準用すること、その他夫婦財産関係における管理者の変更等について規定を整備するものとすること(第六十一条関係)。
 四  取戻権
 破産手続の開始は、破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利に影響を及ぼさないこと、その他取戻権について規定を整備するものとすること(第六十二条から第六十四条まで関係)。
 五  別除権
 別除権は、破産手続によらないで、行使することができること、その他別除権について規定を整備するものとすること(第六十五条及び第六十六条関係)。
 六  相殺権
 破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで、相殺をすることができるものとすること、その他相殺禁止の範囲等相殺権について規定を整備するものとすること(第六十七条から第七十三条まで関係)。
第三  破産手続の機関
 一  破産管財人
  1  破産管財人の選任及び監督
 破産管財人に対する監督、数人の破産管財人の職務執行、破産管財人代理について規定を整備するものとすること(第七十四条から第七十七条まで関係)。
  2  破産管財人の権限等
 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理処分権は、裁判所が選任した破産管財人に専属すること、破産管財人が財産の処分その他この法律に定める行為をするには裁判所の許可を得なければならないこと、その他破産管財人の権限等について規定を整備するものとすること(第七十八条から第九十条まで関係)。
 二  保全管理人
 法人である債務者については、特に必要があると認めるときは、保全管理人による管理を命ずる処分をすることができること、保全管理命令に関する公告及び送達並びに保全管理人の選任、監督及び権限等について規定を整備するものとすること(第九十一条から第九十六条まで関係)。
第四  破産債権
 一  破産債権者の権利
  1  破産債権に含まれる請求権等
 破産債権に含まれる請求権、優先的破産債権、劣後的破産債権等について規定を整備するものとすること(第九十七条から第九十九条まで関係)。
  2  破産債権の行使
 破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができないこと、その他破産債権の行使について規定を整備するものとすること(第百条関係)。
  3  給料の請求権等の弁済の許可
 優先的破産債権である給料の請求権又は退職手当の請求権について届出をした破産債権者が、これらの破産債権の弁済を受けなければその生活の維持を図るのに困難を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、最初に配当の許可があるまでの間、破産管財人の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができること、その他給料の請求権等の弁済の許可について規定を整備するものとすること(第百一条関係)。
  4  破産管財人による相殺
 破産管財人は、破産財団に属する債権をもって破産債権と相殺することが破産債権者の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得て、その相殺をすることができるものとすること(第百二条関係)。
  5  破産債権者の手続参加
 破産債権者は、その有する破産債権をもって破産手続に参加することができること、その他破産債権者の手続参加について規定を整備するものとすること(第百三条関係)。
  6  全部の履行をする義務を負う者が数人ある場合等の手続参加
 数人が各自全部の履行をする義務を負う場合において、その全員又はそのうちの数人若しくは一人について破産手続開始の決定があったときは、債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額についてそれぞれの破産手続に参加することができること、その他全部義務を負う者が数人ある場合等の手続参加について規定を設けるものとすること(第百四条関係)。
  7  保証人の破産の場合の手続参加
 保証人について破産手続開始の決定があったときは、債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額について破産手続に参加することができるものとすること(第百五条関係)。
  8  法人の債務につき無限の責任を負う者等の破産の場合の手続参加等
 法人の債務につき無限の責任を負う者について破産手続開始の決定があった場合及び法人の債務につき有限の責任を負う者について破産手続開始の決定があった場合の債権者の手続参加等について規定を整備するものとすること(第百六条及び第百七条関係)。
  9  別除権者等の手続参加
 別除権者は、担保権によって担保される債権については、その別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の額についてのみ、破産債権者としてその権利を行使することができること、その他別除権者等の手続参加について規定を整備するものとすること(第百八条関係)。
  10  外国で弁済を受けた破産債権者の手続参加
 破産債権者は、破産手続開始の決定があった後に、破産財団に属する財産で外国にあるものに対して権利を行使したことにより、破産債権について弁済を受けた場合であっても、その弁済を受ける前の債権の額について破産手続に参加することができるものとすること(第百九条関係)。
  11  代理委員
 破産債権者は、裁判所の許可を得て、共同して又は各別に、一人又は数人の代理委員を選任することができること、及び代理委員の権限等について規定を整備するものとすること(第百十条関係)。
 二  破産債権の届出
  1  破産債権の届出
 破産手続に参加しようとする破産債権者は、債権届出期間内に、この法律に定める事項を裁判所に届け出なければならないこと、及び一般調査期間経過後又は一般調査期日終了後の届出等ついて規定を整備するものとすること(第百十一条及び第百十二条関係)。
  2  届出名義の変更
 届出をした破産債権を取得した者は、一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後でも、届出名義の変更を受けることができるものとすること(第百十三条関係)。
  3  租税等の請求権等の届出
 租税等の請求権又は罰金等の請求権を有する者は、遅滞なく、請求権の額、原因等を裁判所に届け出なければならないものとすること(第百十四条関係)。
 三  破産債権の調査及び確定
  1  通則
   (一)  破産債権者表の作成等
 裁判所書記官は、届出があった破産債権について、破産債権者表を作成しなければならないこと、その記載事項について規定を整備すること、及び破産債権者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができるものとすること(第百十五条関係)。
   (二)  破産債権の調査の方法
 裁判所による破産債権の調査は、破産管財人が作成した認否書並びに破産債権者及び破産者の書面による異議に基づいてするものとすること、裁判所は、必要があると認めるときは、破産債権の調査を、そのための期日における破産管財人の認否並びに破産債権者及び破産者の異議に基づいてすることができるものとすること、並びに裁判所は、一般調査期日における破産債権の調査の後であっても、特別調査期間における書面による破産債権の調査をすることができ、必要があると認めるときは、一般調査期間における書面による破産債権の調査の後であっても、特別調査期日における破産債権の調査をすることができるものとすること(第百十六条関係)。
  2  書面による破産債権の調査
   (一)  認否書の作成及び提出
 破産管財人は、債権届出期間内に届出があった破産債権について、この法律に定める事項についての認否を記載した認否書を作成して、一般調査期間前の裁判所の定める期限までに提出しなければならないこと、その他認否書の作成及び提出について規定を整備するものとすること(第百十七条関係)。
   (二)  一般調査期間における調査
 届出をした破産債権者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、債権届出期間内に届出があった破産債権につき、書面で、異議を述べることができるものとすること、その他一般調査期間について規定を整備するものとすること(第百十八条関係)。
   (三)  特別調査期間における調査
 債権届出期間経過後、一般調査期間の満了前又は一般調査期日の終了前に届出があった破産債権等については、特別調査期間を定めなければならないこと、その他特別調査期間に関する費用の予納等特別調査期間について規定を整備するものとすること(第百十九条及び第百二十条関係)。
  3  期日における破産債権の調査
   (一)  一般調査期日における破産債権の調査
 届出をした破産債権者は、一般調査期日に出頭し、債権届出期間内に届出があった破産債権につき、異議を述べることができるものとすること、その他一般調査期日について規定を整備するものとすること(第百二十一条関係)。
   (二)  特別調査期日における破産債権の調査
 特別調査期日に特別調査期間の規定を準用するものとすること、その他特別調査期日について規定を整備するものとすること(第百二十二条関係)。
   (三)  期日終了後の破産者の異議
 破産者がその責めに帰することができない事由によって債権調査期日に出頭することができなかったときは、破産者は、その事由が消滅した後一週間以内に限り、裁判所に対し、当該期日における調査に係る破産債権の額について、書面で、異議を述べることができるものとすること(第百二十三条関係)。
  4  破産債権の確定
   (一)  異議等のない破産債権の確定
 破産債権の調査において、破産管財人が認め、かつ、届出をした破産債権者が一般調査期間内若しくは特別調査期間内又は一般調査期日若しくは特別調査期日において異議を述べなかったときは、調査の対象事項は確定すること、裁判所書記官は、破産債権の調査の結果を破産債権者表に記載しなければならないこと、及び確定した事項についての破産債権者表の記載は、破産債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有するものとすること(第百二十四条関係)。
   (二)  破産債権の確定のための裁判手続
 異議等のある破産債権を有する者は、異議者等を相手方として、査定の申立てをすることができること、申立てがあった場合には、裁判所は、破産債権の額等についての破産債権査定決定をしなければならないこと、申立てについての決定に不服がある者は、破産債権査定異議の訴えを提起することができること、並びに破産債権査定決定及び破産債権査定異議の訴えについて規定を整備するものとすること(第百二十五条及び第百二十六条関係)。
   (三)  異議等のある破産債権に関する訴訟の受継
 異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属する場合における破産債権の確定手続について規定を整備するものとすること(第百二十七条関係)。
   (四)  主張の制限
 破産債権の確定に関する訴訟等の手続においては、破産債権者は、破産債権者表に記載されている事項のみを主張することができるものとすること(第百二十八条関係)。
   (五)  執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張
 異議等のある破産債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについての確定手続について規定を整備するものとすること(第百二十九条関係)。
   (六)  破産債権の確定に関する訴訟の結果の記載
 裁判所書記官は、破産債権の確定に関する訴訟等の結果を破産債権者表に記載しなければならないものとすること(第百三十条関係)。
   (七)  破産債権の確定に関する訴訟の判決等の効力
 破産債権の確定に関する訴訟等についてした裁判は、破産債権者の全員に対して、確定判決と同一の効力を有するものとすること(第百三十一条関係)。
   (八)  訴訟費用の償還
 破産財団が破産債権の確定に関する訴訟等によって利益を受けたときは、異議を主張した破産債権者は、その利益の限度において財団債権者として訴訟費用の償還を請求することができるものとすること(第百三十二条関係)。
   (九)  破産手続終了の場合における破産債権の確定手続の取扱い
 破産手続が終了した際現に係属する破産債権の確定に関する訴訟等の終了、中断等について規定を整備するものとすること(第百三十三条関係)。
  5  租税等の請求権等についての特例
 租税等の請求権及び罰金等の請求権については、1((一)を除く。)から4までは、適用しないこと、並びに当該請求権の原因が審査請求、訴訟その他の不服の申立てをすることができる処分である場合には、破産管財人は、当該請求権について、当該不服の申立てをする方法で、異議を主張することができるものとすること(第百三十四条関係)。
 四  債権者集会及び債権者委員会
  1  債権者集会の招集
 裁判所は、この法律に定める者の申立てがあった場合には、債権者集会を招集しなければならないこと、破産債権者の数その他の事情を考慮して債権者集会を招集することを相当でないと認めるときは招集しないことができること、及び当該申立てがない場合でも、相当と認めるときは、債権者集会を招集することができるものとすること(第百三十五条関係)。
  2  債権者集会の期日の呼出し等
 債権者集会の期日には、この法律に定める者を呼び出さなければならないこと、及び労働組合等に対する債権者集会の期日の通知等について規定を整備するものとすること(第百三十六条関係)。
  3  債権者集会の指揮
 債権者集会は、裁判所が指揮するものとすること(第百三十七条関係)。
  4  債権者集会の決議
 債権者集会の決議及び議決権等について規定を整備するものとすること(第百三十八条から第百四十三条まで関係)。
  5  債権者委員会
 裁判所は、破産債権者をもって構成する委員会がある場合には、この法律に定める要件に該当する場合に限り、当該委員会がこの法律の定めるところにより破産手続に関与することを承認することができること、及び承認された委員会の破産手続への関与等について規定を整備するものとすること(第百四十四条から第百四十七条まで関係)。
第五  財団債権
 一  財団債権となる請求権
 破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権その他この法律に定める請求権は、財団債権とするものとすること(第百四十八条関係)。
   使用人の給料等
 破産手続開始前三月間の破産者の使用人の給料の請求権は、財団債権とすること、破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当の請求権は、退職前三月間の給料の総額に相当する額を財団債権とするものとすること(第百四十九条関係)。
 三  社債管理会社等の費用及び報酬
 社債管理会社等が破産債権である社債の管理に関する事務を行う場合において、破産手続の円滑な進行を図るために必要があると認めるときは、社債管理会社等の当該事務の処理に要する費用の請求権を財団債権とする旨の許可をすることができること、及び社債管理会社等の費用の償還請求権を財団債権とするための要件等について規定を整備するものとすること(第百五十条関係)。
 四  財団債権の取扱い等
 財団債権は、破産債権に先立って弁済すること、及び財団不足の場合の弁済方法等について規定を整備するものとすること(第百五十一条及び第百五十二条関係)。
第六  破産財団の管理
 一  破産者の財産状況の調査
  1  財産の価額の評定等
 破産管財人は、破産手続開始後遅滞なく、破産財団に属する一切の財産につき、破産手続開始の時における価額を評定しなければならないものとすること、破産管財人が評定を完了したときは、直ちに破産手続開始の時における財産目録及び貸借対照表を作成し、これらを裁判所に提出しなければならないものとすること、及び破産財団に属する財産の総額が最高裁判所規則で定める額に満たない場合には、破産管財人は、裁判所の許可を得て、貸借対照表の作成及び提出をしないことができるものとすること(第百五十三条関係)。
  2  別除権の目的の提示等
 破産管財人は、別除権者に対し、当該別除権の目的である財産の提示を求めることができるものとすること、及び破産管財人が財産の評価をしようとするときは、別除権者は、これを拒むことができないものとすること(第百五十四条関係)。
  3  封印及び帳簿の閉鎖
 封印及び帳簿の閉鎖について規定を整備するものとすること(第百五十五条関係)。
  4  破産財団に属する財産の引渡し
 裁判所は、破産管財人の申立てにより、決定で、破産者に対し、破産財団に属する財産を破産管財人に引き渡すべき旨を命ずることができること、その他この申立てについての決定について規定を整備するものとすること(第百五十六条関係)。
  5  裁判所への報告
 破産管財人は、破産手続開始後遅滞なく、この法律に定める事項を記載した報告書を裁判所に提出しなければならないこと、並びに破産管財人は、裁判所の定めるところにより、破産財団に属する財産の管理及び処分の状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならないものとすること(第百五十七条関係)。
  6  財産状況報告集会への報告
 財産状況報告集会においては、破産管財人は、5の報告書に記載した事項の要旨を報告しなければならないものとすること(第百五十八条関係)。
  7  債権者集会への報告
 破産管財人は、債権者集会がその決議で定めるところにより、破産財団の状況を債権者集会に報告しなければならないものとすること(第百五十九条関係)。
 二  否認権
  1  否認の原因等
 破産債権者を害する行為、相当の対価を得てした財産の処分行為、既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為等について、破産手続開始後に破産財団のための否認の対象となるべき要件としての否認の原因について規定を整備するものとすること(第百六十条から第百六十六条まで関係)。
  2  否認権行使の効果等
 否認権の行使は、破産財団を原状に復させること、及び破産者の行為が否認された場合における相手方が償還すべき利益等について規定を整備するものとすること(第百六十七条及び第百六十八条関係)。
  3  相手方の債権の回復
 破産者の行為が否認された場合において、相手方が受けた給付を返還し、又は価額を償還したときは、相手方の債権は、これによって原状に復するものとすること(第百六十九条関係)。
  4  転得者に対する否認権
 転得者に対する否認権行使の要件について規定を整備するものとすること(第百七十条関係)。
  5  否認権のための保全処分
 否認権のための保全処分について規定を整備するものとすること(第百七十一条及び第百七十二条関係)。
  6  否認権の行使
 否認権は、訴え、否認の請求又は抗弁によって破産管財人が行うこと、並びに否認の訴え及び否認の請求事件の管轄裁判所、否認の請求、否認の請求を認容する決定に対する異議の訴え等について規定を整備するものとすること(第百七十三条から第百七十五条まで関係)。
  7  否認権行使の期間
 否認権は、破産手続開始の日から二年を経過したとき、又は否認しようとする行為の日から二十年を経過したときは、行使することができないものとすること(第百七十六条関係)。
 三  法人の役員の責任の追及等
  1  役員の財産に対する保全処分
 裁判所は、破産手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、役員の責任に基づく損害賠償請求権を保全するための当該役員の財産に対する保全処分をすることができるものとすること(第百七十七条関係)。
  2  役員責任査定決定及び役員責任査定決定に対する異議の訴え
 裁判所は、破産手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、役員責任査定決定をすることができること、役員責任査定決定に不服がある者は、異議の訴えを提起することができること、並びに役員責任査定決定及び役員責任査定決定に対する異議の訴えの手続等について規定を整備するものとすること(第百七十八条から第百八十一条まで関係)。
  3  社員の出資責任等
 社員の出資責任及び匿名組合員の出資責任について規定を整備するものとすること(第百八十二条及び第百八十三条関係)
第七  破産財団の換価
 一  通則
 換価の方法、別除権者が処分をすべき期間の指定等について規定を整備するものとすること(第百八十四条及び第百八十五条関係)。
 二  担保権の消滅
 破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき担保権が存する場合において破産管財人が当該財産を任意に売却し、金銭が裁判所に納付されることにより当該財産につき存するすべての担保権を消滅させることについての許可の制度について規定を整備するものとすること(第百八十六条から第百九十一条まで関係)。
 三  商事留置権の消滅
 破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき商法の規定による留置権がある場合において、当該財産が継続されている事業に必要なものであるとき、その他当該財産の回復が破産財団の価値の維持又は増加に資するときは、破産管財人は、留置権者に対して、留置権の消滅を請求することができること、その他これに関する手続について規定を整備するものとすること(第百九十二条関係)。
第八  配当
 一  通則
 破産債権者は、破産管財人がその職務を行う場所において配当を受けなければならないこと、破産管財人は、配当をしたときは、その配当をした金額を破産債権者表に記載しなければならないこと、その他配当の方法等及び配当の順位等について規定を整備するものとすること(第百九十三条及び第百九十四条関係)。
 二  最後配当
  1  最後配当
 破産管財人は、一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後であって破産財団に属する財産の換価の終了後においては、この法律に定める場合を除き、遅滞なく、届出をした破産債権者に対し、最後配当をしなければならないこと、その他最後配当について規定を整備するものとすること(第百九十五条関係)。
  2  配当表
 破産管財人は、最後配当の許可があったときは、遅滞なく、この法律に定める事項を記載した配当表を作成し、これを裁判所に提出しなければならないこと、その他配当表について規定を整備するものとすること(第百九十六条関係)。
  3  配当の公告等
 破産管財人は、配当表を裁判所に提出した後、遅滞なく、最後配当の手続に参加することができる債権の総額及び最後配当をすることができる金額を公告し、又は届出をした破産債権者に通知しなければならないこと、その他配当の公告について規定を整備するものとすること(第百九十七条関係)。
  4  破産債権の除斥等
 破産債権の除斥等について規定を整備するものとすること(第百九十八条関係)。
  5  配当表の更正
 配当表の更正について規定を整備するものとすること(第百九十九条関係)。
  6  配当表に対する異議
 届出をした破産債権者で配当表の記載に不服があるものは、最後配当に関する除斥期間が経過した後一週間以内に限り、裁判所に対し、異議を申し立てることができること、その他配当表に対する異議について規定を整備するものとすること(第二百条関係)。
  7  配当額の定め及び通知
 配当額の定め及び通知について規定を整備するものとすること(第二百一条関係)。
  8  配当額の供託
 配当額の供託について規定を整備するものとすること(第二百二条関係)。
  9  破産管財人に知れていない財団債権者の取扱い
 第二百一条第七項の規定による配当額の通知を発した時に破産管財人に知れていない財団債権者は、最後配当をすることができる金額をもって弁済を受けることができないものとすること(第二百三条関係)。
 三  簡易配当
 裁判所書記官は、最後配当をすることができる場合において、破産管財人の申立てにより、最後配当に代えて簡易配当をすることを許可することができること、その他簡易配当について規定を整備するものとすること(第二百四条から第二百七条まで関係)。
 四  同意配当
 裁判所書記官は、最後配当をすることができる場合において、破産管財人の申立てにより、最後配当に代えて同意配当をすることを許可することができること、その他同意配当について規定を整備するものとすること(第二百八条関係)。
 五  中間配当
 破産管財人は、一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後であって破産財団に属する財産の換価の終了前において、配当をするのに適当な破産財団に属する金銭があると認めるときは、最後配当に先立って、届出をした破産債権者に対し、中間配当をすることができること、その他中間配当について規定を整備するものとすること(第二百九条から第二百十四条まで関係)。
 六  追加配当
 新たに配当に充てることができる相当の財産があることが確認されたときは、破産管財人は、裁判所の許可を得て、最後配当、簡易配当又は同意配当とは別に、届出をした破産債権者に対し、追加配当をしなければならないこと、その他追加配当について規定を整備するものとすること(第二百十五条関係)。
第九  破産手続の終了
 一  同時廃止手続
 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならないこと、その他同時廃止手続について規定を整備するものとすること(第二百十六条関係)。
 二  異時廃止手続
 裁判所は、破産手続開始の決定があった後、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産管財人の申立てにより又は職権で、破産手続廃止の決定をしなければならないこと、その他異時廃止手続について規定を整備するものとすること(第二百十七条関係)。
 三  同意廃止手続
 裁判所は、この法律に定める要件に該当する破産者の申立てがあったときは、破産手続廃止の決定をしなければならないこと、その他同意廃止手続について規定を整備するものとすること(第二百十八条及び第二百十九条関係)。
 四  破産手続終結の決定
 破産手続終結の決定について規定を整備するものとすること(第二百二十条関係)。
 五  破産手続廃止後又は破産手続終結後の破産債権者表の記載の効力
 破産手続廃止後又は破産手続終結後の破産債権者表の記載の効力について規定を整備するものとすること(第二百二十一条関係)。
第十  相続財産の破産等に関する特則
 一  相続財産の破産
  1  相続財産に関する破産事件の管轄
 相続財産についてのこの法律の規定による破産手続開始の申立ては、被相続人の相続開始の時の住所又は相続財産に属する財産が日本国内にあるときに限りすることができること、及び相続財産に関する破産事件の管轄について規定を整備するものとすること(第二百二十二条関係)。
  2  相続財産の破産手続開始の原因
 裁判所は、この法律に定める場合を除き、相続財産をもって相続債権者及び受遺者に対する債務を完済することができないときは、破産手続開始の決定をするものとすること(第二百二十三条関係)。
  3  破産手続開始の申立て
 相続財産については、相続債権者又は受遺者のほか、相続人、相続財産の管理人又は相続財産の管理に必要な行為をする権利を有する遺言執行者も、破産手続開始の申立てをすることができること、その他申立てについて規定を整備するものとすること(第二百二十四条及び第二百二十五条関係)。
  4  相続の開始
 破産手続開始の決定前又は破産手続開始の決定後に相続が開始した場合について規定を整備するものとすること(第二百二十六条及び第二百二十七条関係)。
  5  限定承認又は財産分離の手続との関係
 相続財産についての破産手続開始の決定は、限定承認又は財産の分離を妨げないこと、及び破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定し、又は破産手続終結の決定があるまでの間は、限定承認又は財産分離の手続は、中止するものとすること(第二百二十八条関係)。
  6  破産財団の範囲
 相続財産について破産手続開始の決定があった場合には、相続財産に属する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とすること、その他破産財団の範囲について規定を整備するものとすること(第二百二十九条関係)。
  7  説明義務等
 相続人等の説明義務について規定を整備するものとすること(第二百三十条関係)。
  8  相続債権者等の地位
 相続債権者、受遺者、相続人又は相続人の債権者の地位について規定を整備するものとすること(第二百三十一条から第二百三十三条まで関係)。
  9  否認権
 相続財産について破産手続開始の決定があった場合における否認権に関する規定の適用について規定を整備するものとすること(第二百三十四条から第二百三十六条まで関係)
  10  破産債権者の同意による破産手続廃止の申立て
 相続財産の破産についての破産債権者の同意による破産手続開始の申立ては、相続人がすること、及び相続人が数人あるときは、各相続人が申立てをすることができるものとすること(第二百三十七条関係)。
 二  相続人の破産
  1  破産者の単純承認又は相続抛棄の効力等
 破産手続開始の決定前に破産者のために相続の開始があった場合において、破産者が破産手続開始の決定後にした単純承認又は相続の放棄は、破産財団に対しては、限定承認の効力を有するものとすること(第二百三十八条関係)。
  2  限定承認又は財産分離の手続との関係
 相続人についての破産手続開始の決定は、限定承認又は財産の分離を妨げないこと、及び当該相続人のみが相続財産につき債務の弁済に必要な行為をする権限を有するときは、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定し、又は破産手続終結の決定があるまでの間は、限定承認又は財産分離の手続は、中止するものとすること(第二百三十九条関係)。
  3  相続債権者、受遺者及び相続人の債権者の地位
 相続債権者、受遺者及び相続人の債権者の地位について規定を整備するものとすること(第二百四十条関係)。
  4  限定承認又は財産分離の手続において相続債権者等が受けた弁済
 限定承認又は財産分離の手続において相続債権者等が受けた弁済について規定を整備するものとすること(第二百四十一条関係)。
  5  限定承認又は財産分離等の後の相続財産の管理及び処分等
 限定承認又は財産分離等の後の相続財産の管理及び処分等について規定を整備するものとすること(第二百四十二条関係)。
 三  受遺者の破産
  1  包括受遺者の破産
 包括受遺者について破産手続開始の決定があった場合について規定を整備するものとすること(第二百四十三条関係)。
  2  特定遺贈の承認又は放棄
 破産手続開始の決定前に破産者のために特定遺贈があった場合において、破産者が当該決定の時においてその承認又は放棄をしていなかったときについて規定を整備するものとすること(第二百四十四条関係)。
十一 外国倒産処理手続がある場合の特則
 破産者についての外国倒産処理手続がある場合における破産管財人と外国管財人との間の協力及び情報の提供、外国管財人の権限、外国管財人の破産手続への参加並びに破産管財人の外国倒産処理手続への参加について規定を整備するものとすること(第二百四十五条から第二百四十七条まで関係)。
十二 免責手続及び復権
 一  免責手続
  1  免責許可の申立て
 個人である債務者(破産手続開始の決定後にあっては、破産者)は、破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定が確定した日以後一月を経過する日までの間に、裁判所に対し、免責許可の申立てをすることができるものとすること、その他免責許可の申立てについて規定を整備するものとすること(第二百四十八条関係)。
  2  強制執行の禁止等
 免責許可の申立てがあり、かつ、破産手続廃止の決定、破産手続廃止の決定の確定又は破産手続終結の決定があったときは、当該申立てについての裁判が確定するまでの間は、破産者の財産に対する破産債権に基づく強制執行等及び破産債権に基づく国税滞納処分はすることができず、破産債権に基づく強制執行等の手続で破産者の財産に対して既にされているものは中止するものとすること、その他強制執行の禁止等について規定を整備するものとすること(第二百四十九条関係)。
  3  免責についての調査及び報告
 裁判所は、破産管財人に、免責不許可事由の有無又は裁量による免責許可の決定をするかどうかの判断に当たって考慮すべき事情についての調査をさせ、その結果を書面で報告させることができるものとすること、及び破産者はこれらの事項の調査に協力しなければならないものとすること(第二百五十条関係)。
  4  免責についての意見申述
 裁判所は、免責許可の申立てがあったときは、破産手続開始の決定があった時以後、破産者につき免責許可の決定をすることの当否について、破産管財人及び破産債権者が裁判所に対し意見を述べることができる期間を定めなければならないものとすること、その他免責についての意見申述について規定を整備するものとすること(第二百五十一条関係)。
  5  免責許可の決定の要件等
 免責不許可事由等免責許可の決定の要件等について規定を整備するものとすること(第二百五十二条関係)。
  6  免責許可の決定の効力等
 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れるものとすること、その他免責許可の決定の効力等について規定を整備するものとすること(第二百五十三条関係)。
  7  免責取消しの決定
 免責取消しの決定について規定を整備するものとすること(第二百五十四条関係)。
 二  復権
 復権について規定を整備するものとすること(第二百五十五条及び第二百五十六条関係)。
十三 雑則
 破産手続に関する登記及び登録並びに責任制限手続の廃止の場合について規定を整備するものとすること(第二百五十七条から第二百六十四条まで関係)。
十四 罰則
 罰則について所要の規定を整備するものとすること(第二百六十五条から第二百七十七条まで関係)。
十五 施行期日等
 一  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること(附則第一条関係)。
 二  この法律の制定に伴い、旧破産法は廃止するものとすること(附則第二条関係)。
 三  破産事件等に関する経過措置について規定を整備するものとすること(附則第三条から第八条まで関係)。

 
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